ヌヴォトンテクノロジージャパン 車載向けHMI表示LSI 『Gerda™』シリーズ第4世代3品種の量産開始
~多彩な映像処理技術と高度なセキュリティ機能により車の安全/快適を向上~
車載向けHMI表示LSI 『GerdaTM』シリーズ第4世代3品種の量産開始
【要 旨】
ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社(NTCJ)は、車載向け HMI[1] 表示LSI 『GerdaTM』シリーズの第4世代目となる3品種(Gerda-4M/ Gerda-4L/ Gerda-4C) を2025年5月に量産開始します。
本ラインナップは、安全要求が高まり進化する様々な車載HMI機器に対し、アプリケーションに応じた映像処理技術とセキュリティ、表示安全機能を搭載し、車の安全/快適を向上する HMIソリューションの実現に貢献します。
【本製品による効果】
- 多彩な映像処理エンジンと2.5D GFX[2] を搭載し、電子ミラーの視認性やAR-HUD[3] 、クラスタメーターの表示機能を向上させることができ、ドライバーにより快適で負担のない安全運転支援システムをご提供
- 高速かつ大容量のメモリを内蔵し、外付けメモリなしで、高機能なHMIシステムを構築することができ、システムコストの低減と表示性能向上の両立を実現
- OTA、セキュアブート機能を備え、自動車サイバーセキュリティリスク低減、さらに機能安全ASIL-Bにも対応し、安全で安心なシステム実現に貢献
・商品の詳細はこちら︓
https://nuvoton.co.jp/semi-spt/apl/rd/?id=1100-0011
人々の安全や快適に対するニーズの変化や各国の安全規制の強化に対して、車載産業では安全運転支援システムの導入が進んでいます。これに伴い、車載機器とドライバーとのコミュニケーションを担うHMI機器(Human machine interface)には、情報を迅速かつ正確に視認できるよう表示することが求められています。また、ネットワーク接続による多機能化も進展しています。
しかし、これらの高度な機器は二輪車や小型モビリティなどの比較的低価格な車両も含め幅広い車両への導入が求められており、多機能化・高いセキュリティ対策とコストバランスの両立が課題となっています。
当社は、これらの社会的ニーズを実現し、課題を解決するために、幅広い映像処理技術と高度なセキュリティ機能を搭載した車載向けHMI表示LSI「Gerda™」の第4世代3品種を開発し、量産を開始しました。これにより、より安全で快適な運転を提供し、車載産業の未来を切り拓くことを目指します。
【当社新製品の特長】
- 視認性と快適性を両立したHMI機器を当社独自の画像処理エンジンにより実現
車載機器の電子化により普及が進む電子ミラー、AR-HUD、クラスタメーターに最適な映像処理技術を搭載し、安全で快適な運転環境を実現します。
- 電子ミラー向け機能
従来の電子ミラーでは、特に夜間のカメラ映像において、ヘッドライトの光によるハレーションの発生や、大きな明暗差による白飛び/黒つぶれなどにより、視認性の低下が課題となっていました。
Gerda-4Mは、当社独自のハードウェアエンジンにより、局所的な輝度分布に応じたコントラスト調整(ローカルコントラスト機能[4])を1フレームの低遅延処理で実現することができ、電子ミラーの視認性を向上することが可能です。
- AR-HUD向け機能
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AR-HUDは、走行環境と表示情報を調和させ、ドライバーの視線に自然に入る位置で表示することが重要です。このためには、映像を低遅延で投影するとともにフロントガラスに合わせて表示画像を自由に変形処理することが必要です。
当社の歪補正エンジンは、投影するフロントガラスに合わせて自由変形を1フレーム以下の低遅延で処理することが可能です。また高い自由変形処理性能を用いて、近視点と遠視点の両方を表示する「2画面表示HUD」も1チップで実現可能です。 - クラスタメーター向け機能
クラスタメーターはドライバーに複数の運転支援情報を正確にかつ直感的に伝える必要があります。またインテリアに合わせたデザインの柔軟性も求められます。当社GerdaTMは2.5D GFXエンジンを搭載しており、2D表示に深度や影などの3D要素を加えたより立体感のある表示が可能になります。これにより、ディスプレイの視認性を高めることができ、ドライバーの判断精度向上に貢献します。
また、後述の画像圧縮エンジン搭載との組み合わせにより、WXGA@60FPSの高解像度画像表示を実現でき、より高品位なコクピットデザインを可能にします。
- 高機能なHMIシステムを高速/大容量メモリ内蔵で実現し、システムコストを低減
一般的に、高機能なHMIシステムの構築には外付けメモリの実装が必要になります。当社GerdaTM第4世代のラインナップには、高速・大容量メモリを内蔵しています。これにより、この外付けメモリが不要となり、部品点数削減、システムコスト削減に貢献します。
また、Gerda-4Lにおいては、専用画像圧縮エンジンを搭載しており、通常の半分のメモリ容量でリアルタイム処理することが可能で、一般的に外付けDRAMを必要とするWXGA@60FPSの高解像度の画像表示を内蔵メモリのみで実現することが可能です。
- 機能安全ASIL-B対応と、自動車サイバーセキュリティリスクの低減に貢献
第4世代GerdaTMは、映像信号監視や警告表示監視などの表示安全機能を備えており、フェールセーフ機能やリアルタイム監視機能をサポートすることで、機能安全ASIL-Bのシステム実現に貢献します。また、EVITA-Full対応のHSM[5] を搭載し、ネットワーク経由でのソフトウェア更新(OTA)や信頼されたソフトウェアのみ起動するセキュアブートにも対応しています。これにより、自動車のサイバーセキュリティリスクを低減します。
当社は日本の半導体会社として初めてISO/SAE 21434のTÜVプロセス認証を取得し、サプライチェーンにおけるサイバーセキュリティの強化と信頼性の向上に取り組んでいます。
【用途】
4Wクラスタメーター、2Wクラスタメーター、電子ミラー、HUD、HVAC など
【対象品番】
Gerda-4M (KM2KSZ1xx series)
Gerda-4L (KM2KSD4xx series)
Gerda-4C (KM2KSZ2xx series)
【仕様】
【製品イメージ】
【量産開始】 2025年5月
【お問い合せ先】 ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社
(報道内容) デジタルマーケティング部 PR・コミュニケーション課
(技術内容) ビジュアルセンシングビジネスグループ マーケティング部
【用語説明】
[1] HMI :
Human Machine Interface の略。人と機械が情報をやり取りするための手段や装置。
[2] 2.5D GFX :
二次元(2D)の素材を三次元(3D)のように自由変形させると共に、変形時の滑らかな線描画や色のグラデーションを実現し、奥行き感のある高品位な描画表現を可能にする技術。
[3] HUD/AR-HUD :
HUDはヘッドアップディスプレイの略、AR-HUD(拡張現実ヘッドアップディスプレイ)とは、ナビやADAS情報のARグラフィックスを、ドライバーが実際に見ている風景に合わせて、フロントガラスに表示するシステム。
[4] ローカルコントラスト機能:
画像を複数エリアに分割し、局所的な輝度分布に応じてコントラストを調整することで、画像の視認性を向上する機能。
[5] HSM :
Hardware Security Moduleは暗号鍵の保管、処理を安全に行う専用モジュール。
【ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社 について】
ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社(Nuvoton Technology Corporation Japan)は、2020年にNuvoton Groupに加わりました。NTCJは、世界的な半導体専門メーカーとして、設立以来60年超にわたって培われてきた技術とさまざまな製品、およびそれらを最適に組み合わせた空間センシングソリューションと電池応用ソリューションを提供しています。 お客様やパートナーとの関係を大切にし、期待以上の付加価値を提供することで、社会、産業、人々の生活のさまざまな問題を解決するグローバルソリューション企業として活動しています。 詳細については、https://www.nuvoton.co.jp/ をご参照ください。